第三回「グレート・ギャツビー」 presented by 三坂 詩乃

2015年06月27日 20:42

 僕は新しく知り合った男の方にまた向き直った。「これは一風変ったパーティーですね。僕はまだここの*ご当主*(ホスト)にお目にかかってもいないんです。僕はあちらに住んでいるんですが――」、僕は手を振って、遠くの目に見えないところにある生垣を示した。「そのギャツビーという人の運転手が、招待状を持ってきてくれたんです」

 彼はしばらくのあいだ、うまく呑み込めない様子で僕の顔を見ていた。

「私がそのギャツビーですが」と彼は唐突に言った。

 

 6月当初更新のはずだったんですが、えー……今日は一体何日でしたっけね。

 大変遅れてしまって本当に申し訳ないです。特に催促してくれた草藤君。ちゃんと書いたので赦して下さい。

 

 というワケで、「グレート・ギャツビー」です。偉大なるギャツビー、なんて言われたりもします。米文学が好きな人ならきっと一度は触れたことがあるはず、そうでなくてもタイトルに聞き覚えがある人も多いかと。

 上記の訳文は現代日本で熱烈なファンを多く抱える村上春樹氏のものです。いわゆる「名作」というやつに触れたためしが少なかったので、書店で偶然出会ってつい買ってしまいました。

 突飛な事件や怪異とは世界を異にした、主人公を取り巻く当たり前のような社会で――やはり面白いのは個性の強い知り合いや友人たち、そして今の私たちからすると少し馴染まないアメリカの暮らしです。

 読者は主人公の視点を借り、友人に振り回されたり呆れたりちょっとどきどきしながら、彼の見る世界に引き込まれていくことでしょう。訳本ですので、村上春樹さんのフィルターを通していると思えばそうなのですが、ちょっと回りくどい表現もさほど困惑せず読み進んでいけるかと思います。ぜひ一度読んでみるのをお勧めします!