あとがき

 

 どうも、三坂詩乃です。

 『アスノヨスガ』いかがでしたか。

 久々の三題噺ということで、『スープの夢を見る夜』から早九か月……月日が経つのは本当に早いものですね。やはり難しかったです。

 リーダーとしてモノクロモノフォニーの内情を少しお話ししてみると、週二回の活動日には大方パソコン室をお借りして執筆などしていたのですが、最近のとある一週間はメンバーのうち数人がPCに触れられないほどの混雑ぶりでして……。イラスト部さん、美術部さんの厚意に甘え美術室でリレー小説を書いたこともありました。ええ、今回のがそうで、三題噺にしてもメンバーが固まって座れず、席移動に支障があったため行ったものです。モノクロモノフォニーのリレー小説の実施方法は大概、テーマ決定→十分で“起”→回して(PCの席を移動し)二分読み→また十分で“承”……(以降繰り返し)ということで、意見交換も遠いとやりづらいんですよね。……正式な活動場所が欲しいものです、はい。

 まあ愚痴はさておき本作ですよ、本作。私のイメージはデイ・ドリームです。

『day dream』とは白昼夢のことです。ですが、今回のお話が果たして単なる白昼夢であったのかはご想像にお任せするとします。というのもこの物語(?)、確かに夢のように断片的なのですが、『私』であったり『僕』であったり『“私”』であったりと、一人称表記が統一されていないのです。つまり、主人公は『私』であるはずなのですが、彼女が見ていたもの、していたことは本当に彼女が行ったことなのか? というコノテーションを持たせたかったのです。

 三題噺なんだしさくっとわかりやすいストーリー書こう。と、開始三秒くらいまでは思ったのですが……はじめにひたすら真っ白な景色が浮かんで、その後まるでそれをキャンバスにしたみたいにいろいろなシーンが舞い降りてきました。いつもならここで取捨選択といくところなのですが、“白”ってほんとうに何気なく、いろいろなものに移り変わって、見えたり見えなかったり、見せたり隠してしまったりするんだよなあと思うと、この感覚それ自体を書いてみたくなったんです。だからこの物語の場面というのは、私がこの秋から冬にかけての期間で書き留めていたメモのつぎはぎにとても近くて、整合性がありません。始めはそんな感覚から『トリップ』と題をつけようとしたんです。それがいかにもユメのような感じがしたんですよね。

 ヨスガとは寄す処(よすか)、寄る辺のことです。明日の“私”がもう少し笑えていたらいいな、というお話です。

 冬のつめたさや静けさがすごく好きで、あの世界に一人きりな感じもたまらない。だからこの話ではみんなつめたくて、自虐的で、周りが見えてなくて、一人ぼっちで。だけどそれが私の目に映る冬の形で、ちょっと自己投影が入っていたりする今の私こそ書けるものなんだって、そう思います。

 三題噺というテーマに立ち返りましょうか。

 要素の中で一番難しかったのは、やはり「運動靴」ですね。「仕事」と入れ換え可能だったのですが、冬、欲しいもの、仕事と並べると、彼女さんにプレゼントをあげるため残業して寒い中頑張るリーマンお兄さんしか出てこなくて……。そんな心情の経験はないですし、舞台が現実に近づけば近づくほど想像が曇って来てしまったのでやめました。どうやら、ある程度自分の思い通りに動かせる状況というか、融通が利く設定にしておいた方が書きやすいみたいです。新発見! だから独自設定のファンタジーとか、現実世界にほんのちょっとの非現実を足したような話が多いのでしょうか……?

 あとがき、としたくせにやけに長いですね。普段部誌では紙の枚数とかを考えてなかなかはっちゃけないので、ここまで思いっきり書かせてもらうとむしろ気持ちいいです。タイピング自体好きですし。でも、そろそろこの辺で終わりにしておこうと思います。

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