一行リレー小説「チャア!」
お題:お茶
そのとき、お茶が降ってきた。
それは人体を溶かすほど強力な酸だった。
人々はカテキンを摂取できなくなり、瀕死寸前だった。
ところが!そこへ閃光のごとく舞い降りた、一人の救世主があった。
急須マン!
「人々のカテキン摂取を支援するために来た。私がいれば玉露だって飲み放題。」
飢えていた人々は大変喜んだが、急須マンには一つ気がかりなことがあった。
京都人にとって、お茶とは『帰りなさい』の合図だったのだ。
帰れぇ…帰れぇ…と言われているようで、急須マンが全国にお茶を配布していくたびに、京都の人たちは追い込まれていった。
そしてある日、ストレスマッハになった京都の人々が暴動を起こした。
その名も『アンチティーパーティー一揆』
「チャアアアア!!! チャア! チャチャチャチャア!!」
我らが文明のすばらしき発明品によって、光速で生中継された一揆の様子に、他県民たちはすっかり震え上がった。
彼らを最も恐れたのは、首都の座に居座る東京都民であった。
「やつらに茶を奪われたら、俺らは終わりちゃあ!」
そう、この『アンチティーパーティー一揆』病はすさまじい感染力で、とうとう都民の頭をも狂わせたのだ。
チャチャチャチャアと叫びながらヌンチャクを振り回す感染者たち。
彼らから、死にものぐるいで逃げまどう非感染者たち。
「もはや、この国もこれまでか///。」総理は身を捩った。
「アチャア!」国会議事堂を打ち壊し、総理席へと華麗に舞い降りたのは、かつてこの国で死んだ伝説のアクション俳優『レッド・スリー』だった。
「ほあちゃああ!」レッドスリーは急須マンの頭の急須を粉砕した!
▼急須マンに効果はバツグンだ! 120のダメージ。
▼急須マンは粉砕した。
国内だけでは収集がつかなくなり、通達の行った米国大統領は唖然としたが、やがて深いため息をついた。
「…チャア…。」
!オ○マも感染していた!
20××年、海までもがお茶になる。
22××年、大気中の玉露成分が80%を超える。
23××年、玉露成分中のカテキンがオゾン層から溢れ出す。
30××年、太陽が玉露を燃料として核融合反応を起こし始める。
39××年、玉露成分がすべて反応し終え、宇宙が縮小を始める。
XXXX年、そしてこの世のすべては玉露になった。
完